意匠とは
意匠権で保護されるものは何か?
意匠権の保護対象は、「意匠」です。
「意匠」というのは、意匠法で定義されており、「物品(物品の部分を含む。第8条を除き、以下同じ。)の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であつて、視覚を通じて美感を起こさせるもの」と定められております。
そして、意匠権は、特許権と同様に、この意匠が誰のものであるかを定めるものであり、意匠という知的財産を保護するための権利です。
でも意匠権を誕生させるためには、まず、意匠登録出願という手続きを特許庁にしなければなりません。
意匠登録出願するためには?
意匠登録出願をするためには、意匠を図面や写真等に表したものを願書に添付して特許庁に出願する必要があります。
特許庁では、審査官が意匠審査基準に基づいて審査します。
ここで、意匠権となるためには、その意匠が、
- 工業上で利用できること(工業上利用性)
- 新しいこと(新規性)
- 創作が容易でないこと(創作容易性)
- 公開された先の出願の出願書類に記載された意匠と同一又はその一部でないこと(拡大先願)
- 公序良俗を害するおそれ等がないこと
という要件を満たす必要があります。
また、出願する際の手続きとしては、
- 1つの願書では1つの意匠について出願すること
- 出願のための願書、図面が所定の記載要件を満たしていること
という要件を満たす必要があります。
これらの要件を満たしたものを出願します。この際、その意匠に対して一番最初に出願なければ、その出願人は意匠権者にはなれません。なので、急いで出願する必要があります。
出願に際して必要な書類は、
- 「願書」(http://www.jpo.go.jp/toiawase/faq/yokuar18.htm)(意匠登録願の「願書」の作成要領)
- 「図面」(http://www.jpo.go.jp/toiawase/faq/yokuar19.htm)(意匠登録願の「図面」の作成要領)
となります。
これらをそれぞれ所定の様式に従って準備して、出願します。
意匠登録出願後の流れは?

意匠権を取得するとは?
意匠権というのは、産業政策上認められた権利なので、登録から20年経過した時点で消滅してしまう、期限付きの権利です。
その間は、意匠権として規定された意匠を第三者が勝手に実施した場合、差止や損害賠償を求めることができます。
ただし、権利の有効範囲はあくまでも日本国内のみとなります。外国でも権利取得したい場合には、その国で意匠権を取得する必要があります。
消滅するまでの間、特許権と同様に権利を維持するための登録料を特許庁に支払い続ける必要があります。この登録料は、意匠権そのものの価値とは関係なく、存続期間に応じて決められています。
なので、維持費用に比べて意匠権が生み出す価値が低い、というのであれば、無理して最後まで維持する必要はないでしょう。
他にも消滅要因がいくつかあります。
その一つが、無効審判という制度によって、消滅どころか、初めからなかったものとさせられてしまう場合です。
例えば、意匠権の価値が高いほど、競合にとっては邪魔な存在となるので、権利をつぶしたいと思います。このような場合に、特許権と同様の考え方により無効審判が請求されます。
